マネージャーは、それらの技能が何であり、いかに役立ち、何を要求するかを理解しなければならない。
欧米と日本の違いについて、以下の通り説明されている。
日本は、合意(コンセンサス)によるとしている。
欧米では、意思決定の力点は、問題に対する回答。
そして、日本では、問題を明らかにすることとしその過程(プロセス)を重要視するとしている。
確かに、何かを決定する際には、各部門間での調整が行われる。
合意形成に至るまでに、
- 問題を明確化
- 複数意見を検討(意見対立・相違を確認)
- 実施の方策まで組み込む
決定後に、直ちに取り組める環境と状況(理解)を準備することで、意思決定に時間がかかるものの、その後が迅速に進むという利点がある。
このように問題が明確であり、取り組む必要がある場合、多少の時間を要しても、前進することで問題解決にあたり組織が変革していく。
ところが、
私たち中小企業にあっては、問題に対する認識と経営者の方針が意思決定を大きく左右する。
トップダウンに始まり、トップ決裁の中小企業は、合意形成というよりは、社内調整と言う方が適切かもしれない。
マネージャーの立場にある役員又は責任者は問題解決の号令と共に、いち早い解決策の実行に向けて動くことが必要である。
ところが、中業企業は人材不足が常である。
よって、社員教育によるものか、組織体制やルールによりこのマネージャー機能を補う必要がある。
マネジメントの技能としての【意思決定】であるが問題が明確な場合には、効果的に機能するであろうし、実行もともなう。
しかし、問題について、本書では、【多くの問題は、中間にある】としている。
つまり、取り組んでも何とかなるわけでもなく、危険に陥るということでもない問題が多いと。
コストやリスクを勘案・検討したとしても公式が存在しないことから、問題さえ曖昧となる。
例えば、売上を上げるという問題。
私たち中小企業は、本来であれば最も重要であり、常に取り組むべき問題のはずであるが、現状の売上に各段の突破口が見当たらず、現状維持でも、何とかなるという希望的予測を思い描いていれば、危機感を感じないところもある。
中小企業では、問題認識が最も問題の可能性がある。
本項では、フィードバックの仕組みが必要であり、体系的に行うべきだとしているが、これはPDCAサイクルに他ならない。
成果を上げるための意思決定である以上、その過程も重要であるものの、多くの場合には放置され忘失される。
マネジメントの技能である【意思決定】。
マネージャーが存在し、組織が機能することが理想的。