思考法の方法、条件、型について論じられている章。
ビジネスにおいて、着想やアイデアを生むということやその内容を具現化するために考える道筋について教えてくれている。
本章では、学生が論文を作成する際のテーマを決めるという着想を得るには、
という部分から始まる。
着想を得るための方法としてのタイトルが「醗酵」。
ビールづくりになぞらえて、麦だけではアルコールにならず酵素が必要であると説かれている。
同類のものから持ってきてはいけない。異質なところからもってくるのである。
と記されており、ビジネスで考えた場合にも、同業種・同業者ではなく、異質な何かから着想したものこそ、これまでにないオリジナルが生まれ、ヒットにつながっている。
先ずは、着想するには異質なものを吸収するべきとなる。
ところが、インプットだけではアウトプットにつながらない。
それが、次のタイトルである「寝させる」。
著名な小説家や科学者を例示して、朝に生まれると説く。
英語の成句として、sleep overという言葉が存在すると紹介されているが、確かに「一晩寝て考える」という意味となっていた。
又、中国の言葉として、馬上、枕上、厠上という三上が言われているとし発見は、朝を好むこととしている。
以前に紹介した名著、「アイデアのつくり方」でも同様のことが言われていることを想起する。
インプットで着想し、アウトプットをするためには、朝が望ましいことはわかったが、その間のプロセスとして次のタイトルがつけられている。
そのタイトルが、「カクテル」。
着想を一つだけに絞り込む過ぎる、とらわれる過ぎる弊害を説き、2~3を用意することを推奨している。
しかも、自身を特別視せずに、着想した内容を冷静に諸説に照合することも必要と記している。
ビジネスでも、着想した際には独創的な感覚にとらわれがちであるがよくよく調べてみると、類似又は酷似している場合が多々ある。
更に、着想した内容について、次の段階に進めるためには客観的に判断することが必要となるとし、次のタイトルが「エディターシップ」となる。
これは、第二次的創造であると定義されており、部分だけでなく総和的にまとめ上げるために、順序が重要と説く。
ビジネスにおいて、相手に伝える際の順序が重要であることと同じであり、これらを整理する必要があるのは、納得できる。
加えて、「触媒」というタイトルでは、編集作業は中立的機能であることが必要であり、着想を編集する際の冷静な判断の重要性を説いている。
最後に、アナロジー(類推、類比)というタイトルで、着想を編集した内容について、相似性を見つけることが例示や比喩として、表現できるとしている。
つまり、着想した内容について、具現化する際には適切に編集され、論理的に類推されていることで、「例えば・・・」と相手に伝えるまでの思考が整理されるとしている。
そして、最後に「セレンディピティ」というタイトルで周辺的な関心や興味が、発見やヒントに活用されることも加えている。
集中して思考する際に、異なる書籍や内容に時間を費やしてしまう行為は、無駄にならないことを示唆している。
思考の方法、条件、型についてまとめてみる。
着想は、異質なものが加わることで生まれる。
考え続けた上で、朝に発見されることが多い。
着想は一つにとらわれず、編集作業を中立的に行うことで形づくられていく。
着想した内容を具現化するために、類推や類比を行うことで内容を検証し、思考が整理される。
更に、周辺的事項の興味や関心から、更なる発見やヒントを生む。
ビジネスにおける着想(アイデア)から、戦略構築する際のプロセスとしての思考法として十分に使える。
これらのプロセスについては、別の機会に十分に考察し類推・類比して、マーケティングのフレームワークとしてまとめてみる価値があるものと思われる。