思考の整理について、しゃべること・話すことも有効である。
注意事項として、インブリーディング(同系繁殖、近親交配等)という用語を用いて、知的分野においても専門家だけで協議すると、新しい思考を生み出すためには、好ましくないとしている。
知的作業の方法の一つとして、現代ではメジャーな方法であるブレイン・ストーミングが取り上げられ有効性を認めている。
現代のビジネスは、会議が多くなる傾向である。
指示伝達の場ではない、検討・協議の場が圧倒的に増加した。
中小企業においても、誰か一人だけで決めたことでは少ない人数でも納得できないという風潮になる。
重要事項を判断する際にも、経営者の独断で進めるよりも役員協議や幹部社員協議というスタイルが増加した。
どちらがいいことではなく、社会的には協議というスタイルが一般化したと思われる。
おそらく、バブル崩壊後の経営において、経営者は時代に翻弄され多くの影響を受けたことで、自信と一部の信頼を失った。
よって、独断から協議というスタイルに移行したと思われる。
現在のこのような環境下においては、思考を整理するという作業も、組織においては、独自ではなく協議が一般化している。
こうなると、前述のインブリーディングという同系繁殖という用語で示された専門家だけの協議や、同一思考のメンバーによる協議は新しい思考を生み出すには、不向きだと言える。
ブレインストーミングという自由な発想と闊達な意見の場という前提があれば、異なるメンバーを含むことで、新しい思考のきっかけが生まれる可能性がある。
ビジネスでは、立場や経験、実績及び知識という面が重要視されがちであるものの、様々な意見を取り入れることが、肯定的であろうが否定的であろうが、建設的であろうが、破壊的な意見でさえ、刺激の一部となる。
組織の思考を整理し、新しい思考を生み出すためには様々な意見に耳を傾けることが重要であることを再認識しなければならない。
本書では、思考が整理された結果として、
- 学校では教えられることのない生活の知恵
- 古くから世界各地で用いられることわざ
を例に挙げ、自己の経験や知見を思考として統率させる方法だとしている。
つまり、自分なりのことわざの世界をつくり上げることが、思考の体系化をつくり上げることだとしている。
興味や関心の核を明確にし、その核に凝集する具体的事象、経験を一般的命題へ昇華する。
ビジネスに言い換えるならば、問題や課題を明確にし、それらの事象や経験を一般化して、汎用性・再現性のある解決法を導く、となる。
思考を体系化することが、自己解決力を向上させることにつながる。
自己解決力向上は、ビジネスの進化につながる。