本書の冒頭は、衝撃的に始まる。タイトルは、「グライダー」。
学ぶということ、学んだ結果として、自分で飛べないグライダー
として辛辣な表現を用いている。
学校で学んだところで、飛べなければ同じと喝破する。
1986年の創刊時に、既に以下の文章がある。
現代は、情報の社会である。自分で飛べない人間は、コンピューターに仕事を奪われる。
当時から、創造的思考の必要性を説いている。
そして、不幸な逆説として、問題は解けても問うという能力、問題を自ら作問することが出来なければ創造的にはならないと記している。
現代の中小企業、小規模事業の私たちも、グライダー教育を受動的に学び、優劣をつけられた。
経営において、学ぶということは、「真似る」とも言われ成功事例、新しいノウハウ、テクニックを吸収し、活かしてきた。
しかし、近年ではこのような方法が通用しない傾向が強い。
市場環境、消費者意識や動向はじめ価値観が大きく変化したこと、情報伝達速度が瞬時とも言える時代で差別化や独自化しなければ、ノウハウやテクニックが生かせないということが考えられる。
すなわち、自ら考えなければならない時代。
思考を整理し、自分で飛ばないグライダーから、エンジンを搭載した飛行機として飛び立つ必要がある。
しかし、私たちの【クセ】は、早々には治らない。
流行りや話題のノウハウ、注目される企業やビジネスモデルの情報に飛びつき、振り回されてしまう。
ノウハウピッカーと呼ばれ、多くの書籍やセミナーに学ぶも独自のノウハウやビジネスを展開出来ない者は、多い。
本書のスタートに掲げられているのは、学ぶ姿勢と言える。
自ら考え、飛び立てる前提として学ぶためには、与えられるのではなく、自ら能動的である必要があり、目的や目標が不可欠だと考えられる。
自身の経営において、何が必要であり、何を問うか。
ここから、思考の整理を始めなければならない。
見たくない現実に直面することや多くの思考逡巡を重ねることが想像に難くないものの、絡んだ糸をほどくように進めなければならない。
本章では、創造的思考を提起した上で、解決策として呈示されている事項がある。
【朝飯前】とされ、朝時間の重要性や空腹時における思考活動の効率の良さが紹介されている。
深夜に長々と解決できない問題は、朝から取り組むことで別の観点や思考が生まれるのは、誰しも経験があり理解できる。
考えるということを考えるための学ぶ姿勢と解決策。
学び方も、考えるという時間を配分することも見直すことで、自己成長と経営の進化に役立てたい。