マネージャーとしての資質は、一つだけある。
真摯さ、である。と結論づけているマネージャー論が展開されている。
マネージャーをして、マネージャーたらしめるものは成果への貢献という責務である。
という扉の言葉からスタートし、マネージャーの定義として、
組織の成果に責任を持つ者としている。
更に、組織は誰がマネージャーであるかを明らかにする必要があると説く。
専門家との役割を、専門家の言葉を理解させエージェントとして機能することもマネージャーの業務であるとしている。
事業、人と仕事、社会的責任の遂行というマネジメント上の役割を果たし、
- 目標を設定
- 組織する
- 動機づけとコミュニケーション
- 評価測定
- 人材開発
を行う、スーパーマンがマネージャーとするならばそう易々と務まる人材は見つかりそうもなければ、自問自答して、マネージャーの適性が見当たらない。
人という資源を最大限に活かし、成果に責任を持つという、理想の人物論である。
私たち中小企業におけるマネージャーとしてその役割から考えた場合には、経営者・経営幹部以外は考えられない。
経営者がプレイングマネージャーである中小企業が大多数であるものの、組織運営には向き・不向きがある。
向いていたとしても、経営者には、これ以上の業務も責務も存在する。
経営幹部であっても、各部門や業務に追われる中、確かにプレイングマネージャーであるものの、組織運営を効果的に行える人材は少ない。
否定的且つ悲観的であるが、中小企業におけるマネージャーたる人材を育成するのは極めて困難だと思える。
しかし、異なる視点から中小企業を考えた場合には、兼務の多さ、職務の多様さから、システムとして連携することでマネージャー機能を発揮できるものと考えられる。
各部門の情報を共有し、全体最適化を図るという組織形態。
たった1名であっても、外部組織との連携を行える時代。
事業を各部門に分割し、提携することで業務機能と役割が明確化する。
おそらく前時代から、マネージャー業務は属人的に行われ、育成も阻まれてきたものと思われる。
権限集中と責任集中は、独裁体制を整えることになる。
本書では、マネジメント開発~目標管理までにおいて属人的であってはならないと警鐘を鳴らしている。
マネージャー=人であるという定義から、時代が変わり、マネージャー=組織(システム)とすれば、その組織の真摯さが、マネージャーの役割と機能を発動させるものと思われる。
ただ、言えることは、人という特殊な資源を扱うことは変わらない事実であることから、やはり真摯さは不可欠であり、そこには公平で公正なマネジメントが存在しなければならない。