経営科学は、大きな貢献を果たしうる道具である。
計算と分析の道具だが、目的は、診断を助けることにある。
万能薬でも処方箋でもなく、問題に対する洞察として機能しなければならない。
として、経営科学を定義している。
つまり、データの計算や分析を結果として求めるのではなく、過程として次の対策や施策のためのチェック機能として、経営判断するための道具ということである。
PDCAに置き換えると、チェックからアクションに向かう際の道具と言える。
更に、マネージャーの役割として、経営科学という道具を使うために学ぶことは必須だとしている。
経営判断は、現場のあらゆる場面で行われているため、その決断を委ねられているのは、マネージャーである。
そのマネージャーが、経営科学のという道具を使わずに属人的に決断していては、組織は機能出来ない。
生産的に経営科学を使うための4項目として、
- 仮定を検証する
- 正しい問題を明らかにする
- 答えではなく、代替案を示す
- 問題に対する公式ではなく、理解に焦点を合わせる
と、列記している。
現場で何らかの問題が発生したことを考えてみると、スタッフと原因を究明(仮定を検証し、問題の明確化)、次の行動として、ありがちなのは答え(正解の対応)を探してしまう。
しかし、代替案を示すことが次の行動へのステップである。
そして、問題が再発しないために、方法論よりも先に理解に焦点を合わせる。
このプロセスは、組織運営上において丁寧で誠実であり、時間を要するものと思われがちだが、拙速な解決よりも確実なことは違いない。
私たち中小企業は、マネジメントが苦手である。
機能させようにも、トップの鶴の一言が勝る。
これは、トップに依存したカタチであり、組織的対応はじめ組織の進化・成長には不向きであるのは言うまでもない。
いかに組織を育成するか、機能させるかによってイノベーションや環境適応のスピードに大きな差が出る。
現在、DX(デジタルトランスフォーメーション)としてデジタル化が進められている時代の中、私たちは経営科学に適合したかのような錯覚に陥る。
MA(マーケティングオートメーション)はじめ、様々な機能が経営判断の助けるための道具として使われているものの、最終的には、やはり【人】に帰属する。
そして、その人はマネージャーという立場にあり、そのマネージャーを機能させることがマネジメントでもある。
本書は、この項目を以下で締めくくる。
経営科学の潜在的な力を引き出すのはマネジメントである。