影響力の武器
なぜ、人は動かされるのか
ロバート・B・チャルディーニ
【影響力の武器】について、書いてみることにしました。
この本で、アイデアとヒントを得た人は数えきれないと思います。
広告、コンサル業界では知らない人がいないバイブル的書籍。
内容が濃いので、躊躇しましたが、何度も読み返す名著。
手元にある書籍は、2nd Editionの翻訳本。1991年に発行され、既に第3版が発表されています。
この本を、私なりの解釈で現代風に解説してみます。
先ずは、まえがき。
この本を書いた理由が、書かれています。
私はこれまで、実にだまされやすい人間でした・・・
カモでした~自分でも心配になるくらいでした。
そこで、承諾の研究に興味を持ち、承諾の心理について研究を始めたとあります。
先ず、実験室からスタートさせ、承諾誘導のプロフェッショナルに目を向け、参与観察(研究者がスパイになる方法)というフィールドワークをもっとも頻繁に行い、説得のプロ、欲望を刺激するプロを装って得た経験に3年間という時間を費やしていることが、本の内容を、よりリアリティに伝えてくれます。
この本で紹介されている、承諾誘導の6カテゴリ。
- 返報性
- 一貫性
- 社会的証明
- 好意
- 権威
- 希少性
それぞれのカテゴリーが、人間行動を導く基本的な心理学の原理に支配されているとしています。
さらに、これは【自動的な影響】で、機能しているとしそれを理解することが、情報社会で不可欠と言っています。
通俗的な心理学ではなく、科学的な裏付けを持つというテキストという役割の本です。
ところで、「まえがき」を紹介した理由ですが、非常に優秀なセールスレターと同じ構成です。
この本を手に取り、読むかどうか・・・まえがき次第という部分があります。
広告コピーの鉄則に、「ヘッドラインは、次の1文を読ませるためにある」と、言われている通りの構成です。
私は、だまされやすい人間でした。
(読者を掴みます)
自分がカモの地位に甘んじて~、承諾の研究を
(興味を持ち始めます)
実験室から、プロに参与観察を3年間
(リアリティを期待します)
6つの基本的なカテゴリーに分類できます
(読んでみたいと思います)
通俗的ではなく、科学的
(読む価値を感じます)
どうでしょうか?
ステップバイステップで構成された「まえがき」です。
実は、この「まえがき」から期待値を上げておくという承諾の心理を意識しているのではないか・・・と感じます。
- 社会心理学者:権威
- だまされやすかったエピソード:好意
- 参与観察:社会的証明
- 6カテゴリ:返報性(既に答えを書いている)
- 科学的:一貫性・希少性
と、やや偏屈な見方になりましたが、やはりこの本は、何度読み返しても、仕事のアイデアとヒントを生む本です。