影響力の武器

社会的証明の原理

影響力の武器

マネをしなさい・・・サルのように。

他人の行動に左右されて、自分の判断・行動を決断してしまうという、「社会的証明の原理」。

マネをしなさい、と言われて従うものはいない。

しかも、サルのように?

不快であり、反抗的感情があらわになってもおかしくはない言葉であるにも関わらず、結果的には、マネているのである。

・・・サルのように。

なぜ、こんなことが起きてしまうのか。

その条件は、どのようなものなのだろうか。

その条件とは・・・2つある。

  1. 不確かさ
  2. 類似性

不確かさとは、信じようか、信じまいか。

どうすれば、信じることが出来るのかという判断基準が明確でない状態のこと。

その時に、周囲の行動が、一律の方向に傾いているとしたら・・・正しいと認識してしまう。

きっと、あなたの嫌いな誰かが、その中に混じっていたとしても、圧倒的な数によってその行動や決断は、間違っていないと判断してしまう。

あなたが、何かを買い求めようとする。

それは、あなたの悩みや不安を解決すると理路整然と説明されているものの、胡散臭さと信じ難さが、あなたの決断を思い止まらせている。

しかし、次の瞬間。

多くの人々が、支持した証が呈示される。

その中には、あなたの悩みや不安が払拭された経緯やストーリーが、いくつも積み重なっている。

本来であれば、あなたは自分自身の判断基準で買い求めるか否かを決断するはず。

そこに信頼できる証拠や科学的論拠や理論的説明を求めて、納得しなければ決断しないはずのあなたの賢明さがあるはずだ。

ところが、多くの支持者の意見や感想、評価がいつの間にか、あなたの賢明さを曇らせる。

そして、大多数の意見が、あなたの判断基準に置き換わり・・・決断してしまう。

抗うことが出来ない決断。

更に、2つ目の類似性が加わることで、決定的に、多数の意見が正当化されていると信じてしまう。

類似性とは、あなたと同じような、似たような共通項を持つ支持者である。

広告で頻繁に使われる、該当インタビューには、一般の人(似せた役者かもしれない)が多いのも社会的証明の原理に基づく。

支持者である他人が、自分と同じ、似ていることでまるで懐柔されたかのように、同意してしまう。

しかも、行動にさえ圧倒的に影響するという研究結果が示されている。

「ウェルテル効果」・・・ゲーテの作品である若きウェルテルの悩みは、自殺がテーマであり、その影響力により、死する若者が増加したことで当局は、発行禁止に及んだ。

このことは、いくつもの事例で説明されているが、類似した他社の行動は、恐るべき影響力を持つということを示している。

悪徳訪問販売は、同一地域での営業活動において、「近隣の〇〇様」という常套句で、拡販する。

更に、所得層や立地条件が類似する地域を選択して、営業活動を行う。

マーケティングにおいては、この社会的証明の原理を強化する【類似性】を、徹底的に活用する。

現代のビジネスにおいても、インターネットでも

同一のテクニックが使われる。

先ず、興味・関心があるターゲットが選定される。

このターゲット選定が、社会的証明の原理を際立たせる最大のファクターである。

基本的広告ロジックは、以下の通り。

  1. 対象ターゲットの悩みや不安を払拭するという
    期待させるコピー(ヘッドライン)
  2. 圧倒的支持を集めた●●という
    商品紹介(サービス)。
  3. 累計販売数、使用者数など、【数】が訴求される。
  4. その根拠や理由が述べられる。
    苦労譚、開発秘話、紆余曲折により導かれた成果。

    そして、信じ難いことかもしれないがと、前置きしつつ・・・
  5. これだけ多くの支持者がいるという証が呈示される。
    その支持者は、区分されて表示され、自分との類似性を見出しやすく、画像や動画、支持者の意見のヘッドラインで訴求される。

この時点で、あなたの判断基準は、支持者の意見や評価に置き換わっている・・・。

麻薬か妙薬か・・・伝来の秘方と言える。

使うか、使われるか。

いづれにしても、用法注意。

決断、判断、決定の際には、

  • 多数の他者
  • 自分と似た誰か

これらを探し、確認し、惑わされない判断基準を明確に出来なければ・・・サルとなる。

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