MANAGEMENT 基本と原則
われわれの競争相手は、ダイヤモンドやミンクのコートだ。
顧客が購入するのは、輸送手段ではなくステータスだ。
こう言い放ったのは、1930年代のアメリカ大恐慌時にキャデラックを立て直したニコラス・ドレイシュタット。(修理工から、経営を任されたという人物)
【企業は何か】という難題を、いきなりぶつけた本書が次に問うのが、【事業は何か】。
いきなり、こう問われると、答えに窮してしまう経営者が多いと思う。
しかし、冷静に考えてみる。
事業は何か・・・●●な悩みや不安を解決し、期待や要望に応えている。
あなたのアタマの中に、何が浮かぶだろうか。
そう、【顧客の顔】である。
そして、本書は、こう語る。
【出発点は、一つしかない。顧客である。】
「顧客は誰か」の問いこそ、最も重要な問いだとしている。
そして、顧客はどこにいるのか、何を買うのか。
そこで、冒頭のキャデラックの逸話が登場する。
顧客を明確にするということは、マーケティングの基本中の基本。
それが、マネジメントの名著に記され、トップマネジメントの責任だと明言されている。
ここで勘違いをしてはならないのが、市場と顧客の違い。
事業の業務は、顧客のためにある。
顧客が多いか、少ないか・・・という条件が、市場である。
マーケティングもマネジメントも、大企業を対象に書かれた内容が多く、ケーススタディには、市場が登場する。
私たち中小企業が、大企業の例が使えないと判断してしまうのは、顧客と市場を混同しているからという一因がある。
B2Bであれ、B2Cであれ、顧客と市場は異なる。
そして、どんな顧客なのかということが明確かどうかでマーケティングもセールスも、変わる。
もちろん、広告も訴求内容も、キャッチコピーも変わる。
だからこそ、冒頭のキャデラックの話は、現代にも通用する。
例えば、世界的なメジャーブランドのバック、時計、服。
有名デザイナーの服や靴。
これらの商品を購入する人々は、なぜ買っているのだろうか。
服のデザイン、センス、機能・・・利便性など総合的に判断した場合に購入理由は・・・、【ステータス】につながる。
そして、この話は、様々な商品・サービスの顧客を考える上での原則とも言える。
【顧客の購入動機は、隠れている。】
私が、i-Phoneを使うのも、メガネを選ぶのも、本当の動機は・・・。
ここで再度、確認してみよう。
【顧客は誰か、どこにいるか、何を買うか。】
これらのことが明確になればなるほど、事業(業務)は、顧客に届くこととなる。
本書の冒頭で、マネジメントの前提条件が記された。
企業とは何か・・・利益である。
事業とは何か・・・顧客のためにある。
つまり、顧客のために、利益を出すことが、マネジメントの第一歩。
原理原則であり、基本であり、当たり前であり・・・。
もっと顧客を知り、もっと顧客のことを考えなければならない。