この項目では、マネジメントの技能として、コミュニケーションについて語られている。
コミュニケーションの4つの基本として
1.知覚である
2.期待である
3.要求である
4.情報ではない
としている。
知覚ということは、相手に届かなければ意味がないとし、コミュニケーションを成立させるのは、受け手である。
と、至極当然であるものの、我に返る基本に気づかされる。
更に、
ソクラテスの言葉を引用し、「大工と話すときは、大工の言葉を使え」
と、マーケティングに通じる原理原則を教えてくれる。
加えて、
相手の経験にない言葉では理解されず、知覚能力の範囲外となり、コミュニケーションは成立しない
とし、相手を知ることの重要性を説いている。
期待の部分では、
われわれは、期待しているものだけを知覚する。
として、期待していないものは受け付けられないとし、相手からの抵抗があることを認識していなければならないとしている。
要求の部分では、
コミュニケーションは、受け手に要求することであるから受け手の価値観、欲求、目的に合致する要求を行うべき
とし、人の心は易々とは変わらないこととしている。
そして、
コミュニケーションとは異なるとされる情報。
情報は論理の対象であり、コミュニケーションは知覚の対象だ
として、依存関係にあるとしている。
情報は、記号であり事実であり、情報により意思疎通を行うためには、情報を理解する前提が必要であり、コミュニケーションのために必要ではないとしている。
ここでは、マネジメントの技能として、つまり職場におけるコミュニケーションであることが定義されている。
従って、コミュニケーションの共通認識を【目標管理】とすることで、コミュニケーションを図るべきだとし、同じ情報を違った角度で理解し共有することや目標や目的のためにコミュニケーションが存在するとしている。
これらのコミュニケーションが、組織において目標や目的達成のための共通経験をもたらす。
だからこそ、経験の共有が不可欠だと締めくくる。
上記事項について、私たち中小企業では多くの場合、トップダウンが常である。
即ち、コミュニケーションは一方通行が主流。
言葉足らず・説明不足は、日常茶飯事であり、記述している本人も、赤面の至りである。
本書で語られるコミュニケーションをマネジメントの技能として、目標達成が可能となるのであれば、私たちこそ、活用すべきである。
ところが、活用するための方法を考えた場合に、ほとんどの中小企業には経験の共有が皆無。
経営者や幹部の情報と社員の情報は、質も量も大きな差がある。
共有できる情報も限られているものの、判断基準や評価基準の情報を知り、経験共有することが可能になれば、コミュニケーションが図られる。
よって、このようなルール・システム、体系こそが私たち中小企業には必要だと考えられる。
又、このコミュニケーションの基本と活用は、マーケティングに通じている。
大工と話す時には、大工の言葉を使い、経験を共有していなければ、相手には伝わらない。
基本であり、原理原則と言っても過言ではない事実であるものの、ややもすれば失念している。
広告コピー、プレゼン資料、説明資料など、顧客に提供するツール、会話に至るまで全てを再度チェックする必要がある。