影響力の武器
【譲歩】
返報性のルールをバージョンアップさせる方法。
自分に対して譲歩してくれた相手には、同じく譲歩する義務を感じてしまう。
現実的な大きめの要求から、拒否されての譲歩した要求は、承諾されるという行為。
ドア・イン・ザ・フェイス・テクニック(拒否したら譲歩)と呼ばれ、あらゆる局面で効果を発揮するとある。
但し、要求が法外な場合や誠実に行われていない場合には、譲歩は引き出せない。(当たり前だが)この譲歩については、前回の返報性のルールで説明された「知覚のコントラスト」の影響が大とされ、方法論としては同じである。
大きな要望から見せて、引き算した要望を通す。
騙されたとならない理由は・・・譲歩した本人が「譲歩させた」と、自らが場を支配したと思うことで負の感情が起きないと、書かれている。
更に、譲歩した取り決めに、大きな責任を感じることや満足感を得ることで、次回も承諾してしまう。
このような内容と実験結果では、人は操られるがままと感じてしまうものの、防衛法が紹介されている。
相手の好意や恩、譲歩した結果を、販売の手練手管と再定義することで、返報性も譲歩も受け入れないとある。
現代のビジネスにおいては、返報性と譲歩が繰り返される。
- 今回は、無料でお届けします。
但し、〇月〇日の〇〇時までとさせていただきます。 - 本来であれば、●●のところ、今回は、〇〇。
今は、消費者も慣れている。
これらがビジネスの常套句だというのは常識。
ところが、返報性のルールが影響力を絶大に発揮する場合がある。
【消費者の問題を解決する、悩みや不安を取り除くという場合】
既に欲求が喚起され、行動を起こす準備が整えられている状態では返報性のルールに抗うことが出来ない。
販売の手練手管だと、理解していても行動してしまう。
好意や恩の理由が、いかなる理由であれ、説明がされていれば承諾してしまうという不思議。
日常でこれだけ見聞きしていても、どうにもならないというのは、この返報性のルールの影響力が証明されている。
但し、問題解決、悩みや不安の払拭は、ターゲットが明確でなければ、該当する対象顧客に響かないし、届かない。
つまり、返報性のルールの恩恵を受けるには、ターゲティングが、重要な役割を果たすと言える。
1メッセージ、1アクションは、ダイレクトマーケティングで言われる広告のルール。
返報性のルールを勘案した場合には、
- ターゲット
- メッセージ(コピー:問題解決、悩みや不安を払拭)
- オファー(特典)又は1プレゼン(譲歩)
- リーズン(理由・説明)
- アクション
という5つの因子が整えられる必要があると考えられる。
悪用厳禁。
〇〇詐欺は、電話をかけてくる。
(あなたの身内の〇〇に、大変なことが起こりました、(あなたにとって、とても重要なお得なことです)
この逃げようのない電話1本で、恩を押しつける。
その後、通話の内容次第で、要求し譲歩し承諾を得る。アクションさせるのに、造作もない。
ビジネスは、人に不幸をもたらさない。
モノやコトの先は、顧客の喜びや安心が必須条件。
この法則とテクニックは、利益だけのためではなく、ビジネスで巡り合う顧客のために使われるべきである。
次回からは、自分で自分に呪縛をかける【一貫性】、そして、一貫性から派生する承諾誘導への【コミットメント】。
ビジネスにおけるアイデンティティやブランディング、マーケティング・セールスの鎧の役割をお伝えする。