成功する条件は、市場、技術、価値観の一致である。
事業拡大の方法であり、マネジメントの問題として直面する多角化について、論じている。
多角化に至る要因として、内的な主たる要因を、飽きること。
同じことを繰り返すことから起因する退屈さとし、組織の柔軟性のために必要だと説いている。
外的な主たる要因は、経済規模としており市場や商圏には必ず限りがあるという当然のことを指している。
多角化成功のために必要なことを【調和】と表現しており、現行市場や技術との一体性が必要だとしている。
更に、現行事業と多角化した分野において共通の姿勢を持つことで、性格も一致すると事業目的の一貫性も指摘する。
これまで、中小企業は単一事業がほとんどであったがインターネットの普及とスマホによる社会変化によりオンライン化が進んでいる。
言わば、これは既に多角化と論じてもおかしくない。
なぜなら、オンラインの顧客層やマーケティング、検索エンジン対策やSNS活用などを含めると、多岐な領域にわたり、それぞれに戦略や施策、マネジメントも異なるからである。
既に、中小企業は多角化の時代の真っ只中にいる。
多角化のマネジメントとしての手段として
- 自力開発
- 買収
- 分離
- 合弁
と、方法を論じているが、中小企業的に考えるとこれら全てを自社内で取り組んでいるのが実情。
更に、近年ではオンライン化によるグローバル化も進んでおり、中小企業のビジネスモデルも過渡期を迎えている。
多角化という本章で論じられている市場と技術、価値観の調和は、オンラインでも同じである。
ただ、中小企業はリソース(経営資源)の慢性的不足がありオンライン化という側面では、大きな差が開いている。
これをマネジメント的に埋める手段として、専門領域とし認識し、既存事業部門と別部門(分離)を設立する(自力開発)するところも多い。
しかし、既存事業の理解や顧客との価値観の共有から兼務となることも多く、成功の条件である調和を図るには様々な問題も生じている。
昨今では、多角化の上で業務委託(外注)を活用する企業も多く、今後は増加の一途だと考えられる。
その際に、調和させ一貫性、一体性を維持するために必要なことが、やはりマネジメントとなる。
進行管理、予算管理、品質管理など、マネージャー的業務の重要性が高い。
つまり、中小企業においては、多角化マネジメントの大きな課題が、人材ということになり、社内又は社外においてこのような人材を確保することで、オンライン化への対応や新事業の取り組みが可能となる。
今や、多角化は大企業の経営戦略ではなく、もはや中小企業に不可欠な戦略項目の一つと考えたい。