コトラーのマーケティング・コンセプト

イメージと感情のマーケティング

コトラーのマーケティング・コンセプト

消費者の頭よりも、心に訴えるイメージづくりに取り組む企業が増えている。

2003年当時のコトラーは語っている。

この項目のタイトルは、イメージと感情のマーケティング。

2003年当時から、このような流れが起きていたことがわかる項目であり、この4年後の2007年に i Phone初代がリリースされた。

既に17年が経過した現在、この本で言われた通りの広告表現が増え、中小企業にあっても「ブランディング」が必要な時代となった。

本の中では、かつてのマーケティングのスローガンは競合他社よりも優れたベネフィットを提供せよ、宣伝せよ。

と言い、この例として、「ボルボは最も安全な車」「ウォルマートの価格はどこよりも安い」を挙げている。

現在(2020年12月)、両社とも振るわない。

ベネフィット型のモデルから、抜けきれなかったのか。

広告は、時代と共に変わる。

企業は広告を変えるのだから、企業体も変わっていなければ整合性も一貫性もなくなってしまう。

この当時の消費者行動と意識の想定は、消費者は感情的な訴えよりも、合理的な主張のほうにより強く影響される。

というもの。

本の中では、このような広告は、優位性があっという間に模倣され、機能しなくなる、と指摘している。

現在も、広告の多くは、「安い」・「早い」が主流であり効果がないとは言えないが、ますます競争激化の状況である。

この環境下において、広告で差別化・独自化を図る上で使われている手法の一つが、「顧客の言葉と心の声」。

マーケティングや広告業界では、「インサイト」と呼び顧客の内面を探るとして、近年注目のキーワード。

顧客は、言葉を発する際には、誰かに説明している場面であり、いかに自分に必要か、なぜ自分に必要か(欲しいとは言わない)と、自己正当化を理論武装する。

その中の言葉を広告表現としたら・・・感情的且つ合理的になるのではないだろうか。

例えば、新しいスマホが欲しいとする。

現在、特に困っていることもなく、新しい機能を必要とする差し迫った状況でもない。

もちろん、不具合や故障もない。

多少、バッテリーが弱ってきたと感じる程度。

ところが、あるミーティングの席上で、「まだ、そのタイプを使ってるんですか?」と、指摘された。

新しいスマホが欲しい本当の理由は、「時代遅れ」と思われないため。

要は、見栄(虚栄心)が100%。

しかし、困っていない状態での機種変更は、理由としては、非常に弱い。

そこで、何かしら正当化する理由を考える。

「そうだ、you Tubeの時代だ。動画を撮影・編集するには、新しいスマホだ。」

どうだろう、このような人が新機能や新規格でスマホを機種変更していることは、皆無だと思われる。

スマホの広告宣伝は、今でも新機能と規格。

違った広告表現を考えるとしたら・・・

「今のスマホは古いと思われて、あなたが時代遅れと思われているかもしれません。」

「今から動画の撮影・編集に最適な機種があります。」

「人気ユーチューバーに、最も多く支持されている機種」

と、合理的な主張よりも、感情的な訴えが好ましいのかもしれない。

本の中で、

企業は、人類学者や心理学者のアドバイスを仰ぎ、人々の感情により深く作用するメッセージを開発しようと努力している

と、あるが、顧客の言葉や心の声を聞くことが、その第一歩だと思う。

その顧客の言葉や心の声に相応しい商品やサービス、企業としての、イメージづくりをしていくことで、顧客からの信頼と共感を得られるものではないだろうか。

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