経済は感情で動く
ゲーム理論、判断するのは感情か理性か。
人と人が交わる時に起こる判断。
時には、人が相手の損得ゲームとも言える。
理論上、人は、合理的に判断するものだとされている。
相手の裏を読む、相手の裏をかく。
先を読む、先の先を見る。
裏の裏を読み、表に戻る・・・。
誰もが合理的な判断をするという仮定であれば、ゲーム理論は、数式のように表現できる。
しかし、理論と現実は異なる。
最後通牒ゲーム。
例えば、
あなたは100万円を誰かと分ける権利を持ち、相手が拒否すれば、0円。
あなたは、相手にいくら渡せばいいだろうか?
合理的に考えれば、1円。
拒否されなければ、1円。
しかし、相手がいる。
断られない金額は・・・・50%の人が、50万円を
渡すという判断を行う。
単なる損得であれば、1円は極端にしろ、半分ではない金額を提示するのが通常でもおかしくはない。
ここに感情にも近い【観念】が入る。
「公平」・「誠実」・「正義」
相手と公平に、誠実に、正義として。
本書では、更に神経科学分野まで踏み込んだ実験を例示し、脳の働きまでを考察している。
結果は、人は合理的ばかりには判断しないということ。
更に、上記の観念の延長には、本能的快感があることを示す。
私たちは、正しくないという人の行動を罰する時に快感を覚えるという事実。
ビジネスの現場において、公平・誠実・正義を見るには、価格戦略が最適だと思われる。
適正価格という言葉の、【適正】は、何に誰にであろうか。
仮に、100円で製造できたものを販売するとしたら、あなたは、いくらの価格にするだろうか。
売れるのであれば、価格は青天井だとも言える。
しかし、見識のある私たちは、そうはしない。
それは、消費者・顧客という相手がいるから他ならない。
仮に販売に成功したとしても、携わる人々からの評価は、いただけないものになるのは、間違いない。
この一連の判断が、ゲーム理論であり、観念がある事実、そして、悪を罰する快感が裏側に潜んでいることを表している。
では、人の判断や快感は、他にはないのだろうか。
疑い、罰するという対義の快感は、共感・信頼。
相互信頼と協力は、快感と経済的有益をもたらす。
共感と信頼をすること、されることが重要であり、これまで多くを学び、経験している。
そして、それらを逆に利用されることも知っている。
これらのことは、人は、合理的に判断できる場合と出来ない場合があるという日常生活では、当たり前に起こりえることに過ぎない。
ビジネスでは、目の前の日常を忘れ、理論や理屈をかざして消費者・顧客を見てしまう。
人は、いろいろな条件や環境で、感情的に判断する。
【時間的な選好の逆転】と呼ばれている理論は、「少ないけど今、多いけど後」
という、損得勘定を超えて、「今」を選ぶというもの。
目の前のタバコと10年後の健康を引き換えているように。
本書のタイトルは、本当に内容にふさわしい。
経済は、感情で動いている。