影響力の武器
返報性のルール
この本「影響力の武器」で、最も強力と思われる法則。
他人がこちらに何らかの恩恵を施したら、似たようなカタチでそのお返しをしなくてはならないと、人種・言語・文化を超える人々の共通概念。
この法則があることで、専門家が生まれていると。
人間社会が、報恩が織りなすネットワークと表現され、労働が分担され、多種多様なモノやさまざまな形態のサービスが交換されており、相互依存が人々を結び、高度な能率的単位が形成される。
まさに、現代社会の構図と言える。
社会構造の原点である「返報性のルール」
好例として、国の援助が。
悪例として、宗教行為やビジネスが紹介されている。
要は、道理や感情を超える行動を起こしてしまうということ。
人びとの遺伝子に刻まれたかのように、動いたという結果が残されている。
しかも、その威力は絶大。
好意度と承諾率の相関関係もなし。
【借りの義務感】が、行動を起こさせたという結果ばかりが紹介される。
その義務感を感じるのは、大小問わない。
【小さな恩】が、それを生む。
頼みもしないのに、勝手に親切を施される。
心の中に恩義の感情が生まれる。
そして、それを理屈も感情も関係なく、返そうとする。
受け取った側の礼、恥、・・・不快という感情が、心理的負担を強いて、自ら行動を促す。
加えて、小さな恩に対する行動をしないことの社会的制裁が加わる危険性があれば、何がなんでも行動を引き起こすことは、やむを得ない。
現代のビジネスにおいては、「無料」が返報性のルールの典型と言えよう。
無料の商品配布、無料のサービスが巷に溢れる。
しかし、誰もかれもが、行動を起こしてはいない。
その理由は、「避けられるから」、「規制」のいづれか。
自ら進んで求めた何かが、「無料」であれば返報性のルールは、効果を及ぼす。
避けられては効果を得られないことから、興味・関心を持たせる広告やプロモーションが存在する。
規制されている中の、「無料」は、信頼性や安心感、期待度が薄れるに違いない。
最近では、コンプライアンス的な評価を受けてしまう。
ビジネスにおける「集客」に置き換えてみる。
見込客が自ら進んで求めるものを無料にして、ビジネスが成立するか否か。
無料で正規品やバックエンドを提供していてはビジネスは成立しない。
故に、見込客が求めた「もの」や「こと」を判断する基準や受け取った際の手順、若しくは、近年の行動経済学によって解き明かされた「損失回避性」に関わる事項が、【無料の小さな恩】に該当すると思われる。
但し、無料を提供されたとしても、見込客自らが法を犯す、誤解を招く等の危険性を伴うものは、心理的抵抗と共に拒否されてしまう。
シンプルで強力な返報性のルールが故に、この武器を使おうとするビジネスは多い。
使いこなすには、見込客の理屈や道理、感情をクリアする小さな恩を用意する。
小さな恩に報いる方法、フォーマットを用意する。
この2つがセットになり、ビジネスへと繋ぐこととなる。
では、小さな恩から始める返報性ルールのビジネスモデル。
報いられたら、次はどうする・・・小さな恩を重ねていくことで、ビジネス連鎖を生む必要がある。
小さな恩は、毎日登場する。
無料○○、モニター価格、プレゼント・・・。
報いるための方法が、申し込みや購入という行動。
次は・・・それが、返報性から続く「譲歩」→「承諾」。
人間社会の構造因子である、「返報性」。
ここから、ビジネス設計を行うことが肝要に違いない。