影響力の武器
社会的証明
私たちは、他人が何を正しいと考えているかにもとづいて物事が正しいと判断している。
これが、社会的証明の原理である。
返報性のルールに通じる、カチッ・サーが存在する。
本書では、「録音笑い」が例に挙げられている。
テレビ番組で使われる、群衆の笑いが録音されたもの。
誰もが、つくりモノの笑いだと認識している。
しかも、不愉快だと感じている。
しかし、影響を受けているという事実。
抵抗が出来ずに、認めているという真実。
理由・・・解明されていない。
不可解で、不可思議で、納得がいかないもののそれが事実であるならば、知ることが必要だ。
劇薬注意のノウハウだが、既に一般的に使用されている。
広告における表現では、「伸び率が過去最高」とか「史上最大の売れ行き」等。
どの事業も、販売実績を掲げているし、お客様の声について多くを掲載しているのも、この方法に該当する。
【目に見える社会的証明】
あなた以外は、こんなに認めています、評価しています。
当時の高名なコンサルタント曰く、
「自分で購買決定する人は、全体の5%。95%は、他人のやり方のマネをする・・・」
つまり、あらゆる証拠を呈示して説得しようとしても他人の行動には、かなわないということ。
本書では、いくつかの事例が挙げらているが、結果的に伝えているのは、集団意識が自己正当化を生んだという結果である。
その附随行動として、集合的無知という状態が発生するとしている。
この事例としては、殺人事件を多数の目撃者がいるにも関わらず、誰一人通報しなかったという行動は、「誰かが通報するであろう」という自分以外の誰かに依存するという行動。
現代のビジネスでは、どのような社会的証明と行動が発生しているだろうか。
〇〇で、上手くいくというノウハウ。
多くの人が、成果を手にしたという事例や記事。
これこそ、社会的証明の代表的事例。
それは、ノウハウだけではなく、販売されている商品でも使われている。
やらせやサクラかもしれない可能性は否めない。
しかし、そのノウハウや商品に興味・関心が引かれ自己正当化の理由を探している時に、見せられる圧倒的な例。
だから、お客様の声は質よりも、量(数)だと言われている。
目に見える社会的証明に、誰もが弱い。
そして、そのノウハウや商品が大きく期待外れだった場合、集合的無知が働いてしまう。
「誰もが上手くいった・・・自分はやり切れなかった」
「誰もに効果があった・・・自分は完全ではなかった」
と、社会的証明の「誰か」の影響を受け、自身を悔やむ。
自分の悩みや不安を解決したい時、誰もが不安定な状態。
そこに、圧倒的な社会的証明が存在した場合には、従わざるを得ないという行動。
更に、この社会的証明が、特に強く作用する条件。
【不確かさ】と【類似性】。
社会的証明が劇薬たる証が、暴かれる。