影響力の武器
自動的な影響力の武器、3つの要素。
一つめは、前回の固定的行動パターン。
動物(七面鳥)を例に挙げ、人間にも同じ行動パターンがあるとして、大学での実験が紹介された。
それは、【要請+理由】=承諾
というもの。
●●だから、○○なので、■■させてください、してください。
理由がある要請は、固定的行動パターンとして極めて強い影響力を持つ。
今回は、2つめと3つめを紹介。
2つ目の武器、【簡便反応】。
「専門家がそう言うなら正しいに違いない」
盲目的に信じてしまうのは、判断のヒューリスティックと言われる先入観と経験判断のステレオタイプ。
効率性と経済性において、時間やエネルギーの消費や精神能力を失わずに済むという利点で、選んでしまう。
重要な問題であろうとなかろうと、簡便法を選択する傾向があることは否めないとしている。
情報が溢れる現在、専門家すら疑いの目に晒され、ネット検索により、信憑性を問われる時代。
現代では、「●●がそう言うなら正しいに違いない」●●は、
- 信頼できる友人・知人
- 利害関係のない第三者
- 社会から認められた専門家
という順序になり、全てが確認されてもおかしくない。
一つの項目だけでは、信頼しないし、判断しない。
一見、消費者が疑い深くなっているようにも感じるが、3つの項目が、あらかじめセットアップされていたら・・・。
簡便反応を取らざるを得ない、という結果が予想される。
つまり、今でも私をはじめ人びとは、簡便反応で判断し、意思決定を行っている。
インターネット上で見る各種広告、ランディングページは、このような簡便反応の要件を緻密に準備し、次々と呈示した上で容赦なく、承諾を求める。
承諾できない用件、承諾させない条件など、悪意的にも使えるテクニックだけに、過度に誤解を招く使い方は要注意と言える。
3つめの武器、【コントラストの原理】。
順番に呈示されたものの差異があることで、その差異を、実物・実態以上と感じて影響を受けてしまうというもの。
本書内では、モデルの女性を見た後で、女子学生を見て魅力が低いと感じる事例やスーツを購入して、小物をたくさん買う例が挙げられている。
高い価格を呈示された後に、それよりも低い価格のものは感覚的に安く感じる(影響力を受けている)と、されている。
本書の初版が出版された1991年は、行動経済学が確立していないため、説明されていないが、極端回避性という心理傾向が生む【ゴルディロックス効果】、松竹梅の価格では竹を選ぶという理論とと、コントラストの原理は、異なるものと理解できる。
現代に、コントラストの原理は見られるか?
スーツと一緒に、ネクタイやシャツを購入する。
クルマと一緒に、各種装備やオプションをつけてしまう。
やはり、人の行動は変わっていない。
このコントラストの原理も、使い方次第。
自分のビジネスで、どのように活用できるかを検討に値するテクニックの一つに間違いない。
自動的な影響力の武器、3つの要素。
- 「要請+理由」=承諾(固定的行動パターン)
- 簡便反応
- コントラストの原理
この3つの要素を踏まえた上で、次回からは6つのカテゴリ(返報性~希少性)をどのように理解し、活用するかを考えていく。