コトラーのマーケティング・コンセプト

競合他社

コトラーのマーケティング・コンセプト

 どんな企業にも競合他社が存在する。

この項目では、競合他社を軽んじてはいけないという、当たり前のことを伝えているのかと思いきや、以下のように書かれている。

競合他社を打ち負かしたければ、まず自社に攻撃を挑むことだ。

他社が仕掛けてくる前に、まず自らの手で自社を陳腐化させる努力が必要である。

つまり、自社が陳腐化すると仮定して、新商品や新サービス、品質改善や向上、代替品、参入を仮定して、あらゆることに取り組むべきだと理解できる。

加えて、今日の競争は、企業間競争からネットワーク間競争へと変化しつつある。

と、この項目でも17年前に現在を予測しているということが述べられている。

正に、現在はネットワークの時代。

モノづくりにおいても、ソフトウェア開発、サービス提供でも、自社のみの力で、価値提供を行える企業は皆無と言える。

そうであれば、特に中小企業は、ネットワークの力は必要不可欠。

誰とどのようなネットワークが形成されているかによって、生み出せるモノは大きく変わってくる。

本が書かれた2003年当時は、技術力の差が大きな差別化要因だったのか、競合他社については、「破壊的威力を秘めたテクノロジーの可能性が高い」と、ここでも現代を予測し、IBMの過ちとして、ビル・ゲイツではなく、富士通を警戒していた事実を挙げている。

現代の中小企業は、どのような部分で差別化を行うことが出来るだろうか。

知識も技術力も、確かに差別化を生み出す要因には違いないものの、そのためには、大変な労力、時間、資金が必要になる。

更に、現代社会のスピードは、以前にも増して加速している。

次々に自動化が進められる社会、広告配信や機能も日進月歩で進化していく。

最先端の情報、技術、能力を自社で対応することそのものが難しい。

だからこそ、それらのネットワークの拡大や拡張を行わなければ、競合他社に大きく水を開けられてしまうカタチとなる。

この項目の最後では、競合他社の動きに目を光らせるのは重要だが、それ以上に大切なのは、つねに顧客のことを考えることである。

として、市場と顧客の理解を怠ってはならないと警鐘を鳴らしている。

個人的には、これからの中小企業のネットワークで最も必要なのは、顧客ネットワークではないかと思う。

顧客のことを理解できる基盤を持つことで、事業の拡大や拡張、事業転換、新規事業も大きな可能性を持つと思われる。

この項目の冒頭では、航空会社が1社になっても、移動手段としては鉄道・バス・自動車、最終的には、歩くということも気にかけなければならないと例を挙げている。

更に、コカ・コーラの元CEOの言葉として、世界中に44憶の人がいるが、コカ・コーラの占める量は、わずかしかなく、「敵は、コーヒーであり、ミルクであり、お茶であり、水だ」と言った言葉を紹介している。

広義、狭義の競合他社を再定義し、自社成長のためのネットワークを構築する。

更に、顧客ネットワークを機能させる。

これからの中小企業経営、まだまだやれることがあると思う。

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