コトラーのマーケティング・コンセプト
最低のダイレクトメール活用法は、・・・片っ端から発送する方法だ。
と、手厳しく指摘している。
この本では、「1~2%のレスポンスを期待して」とあるが、現在、新規顧客獲得のダイレクトメールのレスポンスは、0.1~0.5%が現実的であり、当時とは既に状況が異なる。
個人情報の管理も厳しく、販売されているリストを使用する等はクレームにも繋がりかねない状況になっている。
イマドキのビジネスで、アナログのダイレクトメールもあるが、圧倒的な量は、Eメール。
海外では、違いを明らかにするために「EDM」と呼ばれている。
ご存じの通り、DM(EDM)のレスポンスは、リストの質によって異なる。
自社リストでの配信と、他社(媒体・メディア)による配信では大きく違うことは、言うまでもない。
つまり、ダイレクトメールのレスポンスを上げるために最も重要なことは、「リストの質」と言える。
もちろん、キャッチコピー(アナログDMのティーザーコピーや本文のヘッドライン、EDMのタイトルコピー等)や本文の内容、伝え方も重要であることに違いはないが、ダメなリストによる配信ほど、ムダなものはない。
ここでは、リストの取得方法などは割愛するが、自社にとっての優良顧客を定義することや、反応してくれる見込客の傾向などを、日ごろから情報収集をしておくことは、大事なことだ。
本書では、洗練されたダイレクトメール活用として、リストを分類し、発送量を最も有望な見込客に限っている。
としている。
特に、既存顧客へのダイレクトメールは顧客の購買履歴から傾向を把握し、絞り込むことが望ましい。
ところで、実際の中小企業の現場では、どうだろうか?
ややもすると、リストの分類は行わず、精査もなしで、大量に発送していないか?
更に、DM(EDM)のレスポンスは、反応率に一喜一憂するのみで顧客の傾向など、分析はないがしろにされてはいないだろうか。
もし、そのようなことがあれば、ダイレクトメールの戦略そのものを見直しして、再構築することで、劇的に反応率が上がる可能性がある。
更に、本書では、ダイレクトメールの内容について、ほとんどが、1度きりの販売に焦点を絞ったもので、顧客とのあいだに、リレーションシップや感情的な結びつきを築く要素は、いっさい含まれていない。
と、指摘している。
売り手側は、継続して購入してほしいはずだし、結びつきが必要はないとは思っていないはず。
しかし、迂闊にも「失念している」可能性もある。
あっては、ならないことである。
更に、忘れてならないものに、顧客へのイメージもある。
トーン&マナーに基づく、コピーやデザイン。
全てのツールやパーツが信頼を欠いてはならない。
現代では、SNSもあることから、DMからSNSへの誘導など
導線設計の工夫を行うのは当然である。
ほとんどの企業がDM(EDM)を使用している。
しかし、ここに工夫と改善を重ねている企業は少ない。
マーケティングの基本は、トライアル&エラーであり、テストが重要なことは、誰もが知っている。
しかし、やっているところは少ない。
あきらめず、工夫を継続し、改善を重ねることで、他社とは異なるDM(EDM)戦略が構築される。
弊社クライアントの既存顧客へのDM(ハガキ)の反応率を紹介したい。
毎月、購買履歴に基づきリストをクリーニング。
オファー(特典)を設定し、ハガキを送付し来店及び販売商品・単価を計測。
既に継続して、10年以上が経過するが、反応率が全く落ちない。
反応率の平均は15%前後。(来店数)
非常に高い反応率である故に、今以上の反応率よりも、来店時接客における客単価アップの施策が重要となっている。
そして、このDM(ハガキ)の既存顧客が各店舗の売上の80%以上を占めるという正に、パレートの法則の通りである。
DM(EDM)戦略で、売上基盤を構築することがいかに強固なものかという好例である。
DM(EDM)戦略は、業種・商材で異なるものの、改善と工夫で、より結果を求めやすい。
もし、見過ごしているのであれば、今すぐ工夫と改善を。