コトラーのマーケティング・コンセプト
ウォルトディズニーは、こう語っている。
「社員と良好な関係を築かないかぎり、顧客との良好な関係を築くことができない」ボディショップの創業者である、アニタ・ロディックは「社員は、私にとって最も重要な顧客である」と述べている。
給与の問題、雇用契約の問題(働き方も含めて)、現在は、状況が異なるものの、マーケティングにおいても、社員を重要視しなければならない環境は、変わっていない。
それどころか、優秀な社員を育成することは、今後の企業活動にとっては、急務とも言える。
日本の中小企業経営者の平均年齢は、2020年のデータ会社調査結果に基づくと、59.9歳となっている。
紛れもない高齢化であり、後継者不足の現実がある。
既に後継者指名を行い、育成しているならば良しと言えるものの、そうでなければ致命的だ。
経営者がこのような状態で、社員の育成はどうだろう?
今後、世界経済、日本経済が大幅に成長することがないと仮定するならば、多くの社員は将来が不安なはず。
そうなると、安定した企業に勤務している優秀な人材は、流失しない。
ヘッドハンティング、転職による即戦力の補充で体制を取り繕ってきた組織には、厳しい状況が予想される。
アマゾンのジェフ・ベゾスは、「われわれが求めているのは、生まれながらに強い顧客志向を持った人材だ」と言い切る。
顧客志向が強い人材を求め、育成するためには・・・。
この章では、組織構築に言及はないが、人材育成に最低限必要なことは、ルールであり制度である。
そのルールや制度が、顧客志向であることが必要だと考えられる。
この章の書き出しでは、社員は、企業そのものだ。
マーケティング計画を生かすも殺すも、社員しだいなのである。
と、始まる。
どれだけシステムを構築し、対応を省力化しても、今でも、最後の顧客対応は、【人】であることに変わりない。
どれだけイメージを向上させ、ブランド力に磨きをかけ、オートメーションを図っても、最後は【人】である。
企業活動にとっては、永遠のテーマとも言える課題。
現在は、【チーム】という名称で小単位をつくり、業務を遂行している企業も多い。
目的、目標を明確にし、業務評価や基準が明白だからこそ、仲間を制度を信頼して、顧客に目を向ける。
人のマネジメントが、マーケティングを支えているという当たり前のことに、気づかせてくれている。
インターナル・マーケティングで、社員に対して正直で誠実なマーケティングを行うことが、企業活動継続の基盤になると教えている。
現在、SNSでの情報発信においても、企業風土や文化は画像や動画の公開により、暗黙知で伝わる時代。
社員への取り組み、社員との取り組み、チームとしての行動や活動、これらのことを公開することで顧客の信頼を得て、マーケティング活動が加速する。